30代おじさんJICA海外協力隊でタイ生活

30代後半から海外転職を考え辿りついたJICA海外協力隊。海外ボランティアとしてのタイの2年間の記録。

バイク事故15歳で下半身不随の少年に出会った日

家庭訪問でわかるタイの問題

 

所属している病院では、寝たきりの方のために家を訪問してリハビリを行うこともしている。

 

訪問するのは高齢者に限ったことではない。

 

時には若くして障害を持った方に出会うこともある。

 

基本的に私は、理学療法士というリハビリスタッフについて行き、家に行って初めてどんな方にリハビリを行うのか知る形なのだが、さすがに15歳の少年がベッドに横になっていた時には驚いた。

 

少年は、バイクによる事故で下半身不随となっていた状態。

 

事故後4か月経過しているとのこと。

 

彼は一見、特に今の状態に悲観しているようには見えないが、しかし、一目会っただけで彼の感情のすべてを思い図ることなどできない。

 

両足は完全に自分の意志で動かすことはできない状態、排泄も困難なためか管を入れて尿を体外へ出すパックをベッド横に見ることができる。

 

タイの運転免許事情

 

最初15歳の子がバイク事故と聞いたとき、15歳でバイク??と思った。

 

タイではバイク免許は本来18歳から取ることができる。

しかし、大通りや夜間の運転禁止等いくつかの条件のもとで、排気量110cc以下のバイクであれば満15歳からバイクの免許証を取得することができるのだ。

 

彼が住む家は周りがココナッツ林で茂る田舎にある。

 

交通手段としては車やバイクが無いと生活が不便になることも理解はできる。

 

15歳の未来は

彼は今の現状をどう感じているのだろう。

 

この日一番思ったことだ。

 

彼と理学療法士との会話を聞く限りでは、リハビリをすればこの足は元通り歩けるようになると思っているのではないかと感じた。

 

一般的には、脊椎損傷を発症してから3~4か月で慢性期と言って、これ以上リハビリをしても大きな回復は期待できないという時期に入ってくる。

 

もちろん100%もう治らないとは言えないと思うが、4か月経ったこの時期では回復の期待はなかなか厳しいだろう。

 

そこを彼がどこまで理解しているかはわからない。

タイの医師はどこまで伝えているのかわからない。

彼の将来について気になった。

 

タイと障がい

タイには障がい者を雇用するための法律があるようだ。

しかし、実際には働けていない障がい者も多いのは、企業がバンコクに集中していることもあるだろう。

 

このようなタイの地方で障がいを持ちながら生活するのはやはり難しい。

 

地方に居ながらにして自立して障がい者が生活できる仕組みが何かできないか?という所まで考えを広げると、壮大な話になって、ボランティアとして何から手を付け何をしたらいいのか見当もつかなくなってくる。

 

まずは、当事者の話を聞いたうえで、今のニーズを解決できる方法を一緒に悩み、一歩ずつ未来を前進していくことに寄り添う。

 

1対1のミクロな支援、それが今の自分にできる活動だろうか。

 

このような考えを巡らせると、当初「高齢者介護」という職種で活動をするはずだったが、結局、今まで経験してきたソーシャルワーカーの仕事を活かすことになりそうだ。