30代おじさんJICA海外協力隊でタイ生活

30代後半から海外転職を考え辿りついたJICA海外協力隊。海外ボランティアとしてのタイの2年間の記録。

市で初めてのデイケア開所式でタイ高齢者介護の地域格差を知る

 

私が住む隣の市で初めてとなる高齢者デイケアセンターが開設したので、開所式に参加した。

日本では、高齢者のデイサービス(高齢者たちが日中に通う場で、アクティビティや運動、入浴、食事などができる場所)は、日本全国どこにでもあるが、タイではまだ無い市町村の方が大半だ。

高齢者デイケアセンターが開設されるだけで画期的な出来事なのだ。

タイの高齢者事情

タイは日本以上に急速に高齢化率が上がっている。その中で、高齢者に対する支援体制はまだまだ不十分な点が多い。

日本とタイの高齢化率の推移比較。(数字は高齢化率)

国/年度 2010 2015 2020 2025 2030
日本 23.0 26.6 28.9 30.0 31.2
タイ 8.9 10.6 13 16.2 19.6
資料: UN, World Population Prospects: The 2019 Revision

タイでは、市が中心となり高齢者介護支援の体制を整備する必要性を感じながらも、実際にはその整備体制は自治体によってバラバラである。

このようなデイケアセンターができるとなれば、先進的な事例として紹介されるのが実情である。

人口約2万人ほどの市であるが、こういった支援体制を構築することが可能なのである。

開所式はタイらしく、大々的なセットを作り一大イベントとして盛り上げられていた。

実際に活動の場面を見学したのだが、この内容についてはまだまだ検討する余地はあるだろうと正直思う。

しかし、まずはこのような建物があること、通える場があることはこの市に住む高齢者にとって大きなことだと思う。

これまで、私は在宅の家庭訪問を80件以上してきた中で、日中何もやることがなく横になっているだけとか、ぼーっとしているだけという高齢者をたくさん見てきた。

このように通う場があるだけで、本人にとって刺激があり認知症予防効果にもなり、他の人とのコミュニケーションの場も広がり、介護する家族の負担軽減にもつながりといろいろな効果が期待できるのだ。

もちろんそこでの内容も重要になってくるが、まずは一歩進んだ市として今後のタイ国内の高齢者支援策の見本になればと思う。

デイケアセンターの開所式の後、その市に住む高齢者の家に訪問した。

その中で、車いす移動の介護を必要とする方がいた。この方はまだ、デイケアセンターの利用は難しいとのこと。その理由は、車いす専用の送迎車が無く物理的に通うことができないとのことである。

このようにまだまだ課題があるようだが、一つずつ問題をクリアして高齢者が少しでも長く笑顔でいららる街を作ってもらいたいと願う。